【コラム】養育期間の特例とは

★近頃は政府による幼児教育の無償化の制度設計についての話し合いがなされていますが、社会保障制度で考えたときに、私たち自身が行える取り組みはどのようなものがあるのでしょうか。

その中の一つに「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」というものがあります。

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置とは、次世代育成支援の拡充を目的とし、子どもが3歳までの間、勤務時間短縮等の措置を受けて働き、それに伴って標準報酬月額が低下した場合、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる仕組みとして設けられたものです。

一般的に、育児休業を取得した方は、育休明けの復帰後に時短勤務や残業ができないなどで、給与が下がることが考えられます。給与が下がることによって、健康保険料・厚生年金保険料も下がりますが、その分、将来もらえる年金も減ってしまいます。

そうした子育てによる将来の年金受取額の減少を防ぐべく始まったのがこの特例措置です。

また、この特例は下がる前の高い標準報酬月額を使って将来の年金額を計算するだけではなく、給与から控除される保険料の計算に関しては下がった「後」の標準報酬月額が使われる点に特徴があります。

例えば、元々養育前に標準報酬月額が26万円だった方が、時短勤務のため給与が下がり標準報酬月額が20万円になった場合に、この養育期間の特例措置の手続きをすることで、将来の年金額計算には26万円が使われますが、給与から控除される保険料は20万円に料率をかけた金額になるということです。

ここでいう従前の標準報酬月額とは、養育開始月の前月の標準報酬月額を指しますが、養育開始月の前月に厚生年金保険の被保険者でない場合には、その月前1年以内の直近の被保険者であった月の標準報酬月額が従前の報酬月額とみなされます。その月前1年以内に被保険者期間がない場合は、みなし措置は受けられません。

なお、特例措置の対象となる期間は、3歳未満の子の養育開始月から3歳到達日の翌日が属する月の前月までとなります。

原則的に被保険者からの申出を受けた事業主が「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を所轄年金事務所へ提出します。会社を辞めてしまった場合は、自ら提出します。

あくまでも、被保険者からも申出で行われるものであり、会社が自動的に手続きをやってくれる制度ではないということに留意しましょう。

なお、手続きを忘れた場合でも、申出日よりも前の期間については、申出日の前月までの2年間についてみなし措置が認められます。

そして、この特例措置は平成29年1月1日より実子のみならず以下の子についても対象として追加となりました。

1.養親となる者が養子となる者を監護することとされた期間に監護されている当該養子となる者(以下「監護期間中の子」という。)

2.里親である労働者に委託されている児童(以下「要保護児童」という。)

この特例措置は、育休を取得しない父親も要件に該当すれば対象となります。給与が下がる理由は時短勤務や残業が減ったことのみに限らず、例えば子供ができて転居することに伴う通勤手当の低下等でも標準報酬月額が下がれば可能です。

子育ては楽しくやりがいもありますが、色々と費用が掛かることもあります。こうした制度を上手に活用し、賢く子育てと仕事の両立をはかりましょう。

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